私が運営する旅行会社が発信しているメールレターで
「老人ホームでの事件」について、お伝えしました。
このような話を世に問うのは旅行会社としては通常は
「越権行為」であり、問題そのものもアンタッチャブルです。
でも、あえて読者の皆さんに問いかけたところ、
大勢の方からさまざまなご意見を頂戴しました。
ちょっと長くなりますが、全文ご紹介させて頂きます。
ぜひ、皆さんのお立場で「サービス」の観点から
言える事をお考えになってみて下さい。
皆さまがご本人だったら。
皆さまがご家族だったら。
皆さまが施設職員だったら。
皆さまが施設経営者だったら。
どのような角度でも構いません。
ぜひご意見をお寄せ下さい。
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●老人ホーム訪問記 外出不許可事件「初詣は駄目よ」
私の古くからの知人であり、当社のお客様でもある
70才代のひとり暮らしの女性Iさん。
在宅での生活が不安と言うこともあり、昨年末、新しくできた
老人ホームに入居しました。
車イスで生活してはいるものの、杖歩行も可能で言語障害や
痴呆などもなく、ほぼ自立しているといえます。(要介護3)
食欲もあるのですが、何しろ旅行意欲がすごいのです。
電話で話をする度に
「私は旅行が生きがいなので、また連れて行ってください。」
と念を押されます。
シルクロードにも車イスで出かけた実績の持ち主です。
先日、久しぶりに電話をして「お正月だし初詣に行って、
美味しいそばでも食べに行きませんか?」と声を掛けたら
大喜び。
ところが2日前に本人から「初詣に行けなくなった」と
電話があったのです。
私 「どうしたのですか?具合が悪いのですか?」
Iさん「いや、元気なんだけど、老人ホームの外出許可が
出ないの。」
私 「外出許可? どう言うことですか?」
Iさん「老人ホームの方が言うには高萩さんは家族ではないし、
知らない人がいきなり連れ出すと言われても、
万が一のことがあったら困る、と。」
私 「万が一って事故ですか?それとも私が実は悪い人で、
騙してお金を取ったりするかもしれないからですか?」
Iさん「理由は教えてくれないので分からない。でも
(老人ホームが)知らない人との外出は困るって。
こっちにも預かってる責任があるって。」
その後、老人ホームから私あてに
「どうしても出かけるのでしょうか?外出は遠慮して欲しい。」
と電話がありました。明らかに疑っている様子でした。
腑には落ちなかったものの、とりあえずお見舞いがてら
老人ホームにお邪魔すると元気なはずのIさんがベッドに
寝ています。
私 「あれ、どうしたのですか?具合が悪いのですか?」
Iさん「いや、老人ホームの職員の方に『寝ていてください』と
言われたのです。」
私 「???」
Iさん「意味なく起きたり、車イスに腰掛けていると足がむくんで
しまいます。何も用事がないときは寝ていてください、
と看護婦さんに言われたの。歩き回っていると怒られ
ちゃうから。」
具体が悪くなるといけないからベッドに寝ている・・・。
私はその意味がすぐには理解できませんでした。
「私は旅行がしたいから病院ではなく老人ホームに
入所したのに。
病院の方が外出許可が簡単だったわ。」とIさん。
病院や老人ホームの運営方針をとやかく言う立場には
ありませんが、
私は「旅によるリハビリ効果」を信じて、旅の仕事を続けて
行きたいと思います。 (2002年1月12日メルマガより)
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今から4年前の出来事でした。
Iさんはご自宅で一人暮らしをしていた時、
本当に良く出かけました。
「私はね、旅が生きがいなの。」
「忙しいからって私の事忘れないでね。
3度の飯より旅が好きなの。」
そうおっしゃられるIさんはいつも輝いていましたが、
施設に入所されてから急速に体が弱り、要介護度が上がり、
外出はまったく許可されず、
昨年、静かに息を引き取られました。
私は、バリアフリー旅行会社の限界を感じました。
いくら旅に出たいと口にされる方がいても、私達の会社だけ
では出来る事に限界があることを思い知らされました。
●思考停止からの脱却
この福祉施設が格段に悪い施設ではないのでしょう。
福祉には福祉の事情や都合があるのは承知しています。
歩かれて怪我でもされたら家族から訴えられる。
間違って騙されでもしたら、取り返しがつかない。
まったくその通りです。
福祉では、このように「思考停止」の状態になる事が
多いのです。
いや、恐らく無意識のうちに、そちらへお互いの思考を
誘導しているのだと思います。考えたくないから。
誤解をしないで頂きたいのですが、私は働いている人を
責める積りは毛頭ありません。
それに福祉の現状だけを批判しても、問題は解決しません。
批判だけなら誰でも出来ます。
特筆するべきは働いている方々。
本当に献身的に頑張っていらっしゃる。
とてもマネ出来るものではありません。
限られた人員で、限られた時間の中で、
あれだけの仕事をする。凄いことです。
しかし、生意気な事を言わせて頂ければ、
今の福祉サービスのあり方は、
“何かが”間違っていると感じます。
「自分の親を、自分の施設に入れたいですか」
「自分は将来、この施設に利用者として入りたいですか」
ある施設の理事長さんに伺った事があります。
理事長さんは「いや。」
そして、「あんた、何て質問するんだい」と言われました。
●旅することも、食べることも「生存権」
所得や地域格差に関係なく、高齢者が安心して最低限の
生活や生存権が守れること。これが基本中の基本です。
でも、しばられたり、玄関に鍵をかけられたりして過ごす
生存権ってなんなのでしょうか。
私はやっぱり「いくつになっても旅がしたい」と考えています。
だからこそ、今から、この現状をどうしたらいいのか。
私は福祉のプロではないので、どうしても解決策が
見出せません。
・玄関の鍵を開けて、車にはねられたら
誰が責任取るのですか。
・洗濯はヘルパーがします。間違って洗剤を食べたら
あなた責任取れますか。
・財布を持たせて、悪い人に騙されたらどうするんですか。
・転んで怪我されると大変だから、用事がないなら
横になっていて下さい。
ん~、ダメです。やはり「仕方ない」では済ませたくない。
未来の入居予備軍としても、散歩くらい自由に行きたいです。
「あなた偉そうな事言うけど、代わりに責任取れるんですか」
ある施設長さんから、私が実際に言われたセリフです。
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旅に出る自由、行かないと決める自由。
それも生存権だと思うのです。
バリアフリー旅行や外出支援に取り組まれる皆さんや、
福祉の世界でプロとして働く皆さん、
そして障害があるご本人やご家族にもお伺いしたいのです。
どんなに受入態勢が整っても、
どんなにバリアフリーが進んでも、
どんなに社会の理解が進んでも、
施設から出られないのでは、どうにもならない。
最大のバリアは
「旅に行きたいと考える人に選択権がない」バリアです。
食事もそうですね。
「何を食べるか、自分で決められない人生」もどこかに
大きなバリアが立ちはだかっています。
GW前に、何だか難しい話をしてしまってすみません。
旅を楽しむ人をテレビで見ながら、行くチャンスさえ
提供されていない人が大勢いる事実を放置してしまっては、
バリアフリー旅行会社なんて偉そうに言えないなあ。
と、
事務所に貼ってあるIさんと旅した時の写真を見ながら
思った次第です。
Iさん、天国で怒っていると思うんです。
「美味しいもの食べさせてってあれほど言ったのに。」と。
70代の後半になってもグルメな方でした。
ステーキでもロブスターでも平気。
施設の単調な食事は辛かったと思います。
あちらの世界の事は判りません。でも皆さんには、
生きている間に、世界中を旅して欲しいと考えています。
それを応援する事が、旅を生業とするものの努めです。
福祉の現場で起きている
「こんなやり方は不本意だけど、
現場ではどうすることも出来ない。」
状態を放置して置くのは、私達ひとりひとりにとっても
あるべき未来の姿ではありません。
プロが誇りを持って働いていらっしゃるフィールドに
口を挟むような形になり、不愉快な想いをされる方も
いらっしゃるかも知れません。
でも私は、入居者の方が心から、
「ここにいられて幸せな人生だよ。ありがとう」
と口にされる状態こそが、働く人の喜びに繋がると考えます。
頂戴したコメントは、メルマガやHPなどに匿名で掲載
させて頂く場合がございますので、予めご了承下さい。
ご掲載を希望されない場合は、大変お手数ですが、
その旨お書き添え頂ければ幸いです。
皆さまのご意見、感想、体験談など、お待ちしています!
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<おまけ>
●元気になれる「ベルテンポの旅」にご一緒しませんか?
ベルテンポの今年の旅行&イベントのご案内です。
【カナダ・プリンスエドワード島とナイアガラの旅】
http://www.beltempo.jp/tour2006/canada.plan2006.html
赤毛のアンのふるさと、プリンスエドワード島でゆったりと
体を癒す旅。プリンスエドワード島で何と4泊します。
トロントでは移民の歴史や文化を体感し、ナイアガラでは
滝のすぐそばまで近づきます。
【あさま温泉・玉の湯へ】
http://www.beltempo.jp/tour2006/tamanoyu.plan2006.html
ご好評につき、まもなく締め切りになります。
和室と和風ツインはご用意出来ます。
渡来人祭りもエキサイティングですよ!
【太陽と闘牛とフラメンコ・スペイン・アンダルシア情熱の旅】
http://www.beltempo.jp/tour2006/spain2006.7.11.html
現在、現地旅行会社と打ち合わせ中です。
すごい旅になりそうです。まさしく情熱の旅。
詳しい情報が欲しい方はお気軽にご連絡下さい。
【バイククラッシャーズ~あの夏の風をもう一度~】
http://www.beltempo.jp/tour2006/bike2006.html
お体に障害があり、バイク免許の取得を諦めていた、
と言う方からのエントリーも頂いています。
ぜひ、このチャンスを生かして下さい。
【誰でも一度は登りたい、あの富士の山】
http://www.beltempo.jp/tour2006/mt,fuji.html
富士山の登山には、それなりの準備と心構えが必要です。
恐れ入りますが、参加の条件として、
基本的に、自力で登山下山が出来る方とさせて頂きます。
誰も、あなたの事をおんぶできません。
【チームベルテンポ・JALホノルルマラソン】
http://www.beltempo.jp/tour2006/HNL.html
自分の殻を破るきっかけを模索している方の
参加を歓迎します。
ひとつテーマを決めて、スタートラインにご一緒しましょう、
【サハリン・鉄道の旅】
こちらも企画が始動しました。詳しくは追ってご案内します。
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●セミナーのご案内です。
自社のファンを増やすには
~この指とまれビジネスの時代~
http://www.55service.com/seminar06512.html
●開催日時 平成18年5月12日(金) 19:00~20:45
●講師: 高萩 徳宗 サービスが人を飛躍させる株式会社
代表取締役
●場所 東京・銀座 東京都中小企業会館 9階
世の中の多くの企業は、自社中心です。
出来ません、無理です、仕方ありません、売り切れました、
昔からそうなっているんです…。
皆さんも消費者の立場で不愉快な想いをした
経験はありませんか。
これを松井証券の松井道夫社長は「天道説」と呼びます。
企業が自社の都合で顧客を振り回している状態です。
では、今はどんな時代なのか。
「地動説」です。
顧客の側にも多くの情報があり、その中から自分の
考え方にあったサービスを“お客様自身が選ぶ”のです。
企業は選ばれなければなりません。
(行政も医療も福祉もです)
企業が自らが指をたてて「この指にとまりませんか?」と
呼びかける。
その指にとまるかどうかは顧客が決めることなのです。
私達はいかに選ばれるか、いかに指を立てるかが大切です。
自社のファンを増やすには
~この指とまれビジネスの時代~
http://www.55service.com/seminar06512.html
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